有地トリオ 公式ホームページ

演奏模様

2024 3/30 鹿野信一・池の本和美+有地トリオ カモスイ音楽の夕べ

 鶴岡出身のギタリスト鹿野信一さんとボーカルの池の本和美さんのデュオは、今回で3回目のカモスイでした。初回からうちのトリオがお手伝いをさせていただいており、今回もご一緒させていただきました。

 池の本さんは日本ジャズ界の超大御所、前田憲男さん率いる「前田憲男とウインドブレイカーズ」のボーカルを務めていた実力派。「花明かり」(池の本和美/前田憲男とウインドブレイカーズ)というCDを出されています。

 3時から一通りリハーサルをやることになり、カモスイのレクチャールームに集合。そうしたらなんと池の本さんが松葉づえ!

 豪華客船の中で歌う仕事を長年されていて、揺れをピンヒールでこらえて来たダメージで膝を故障されたとのこと。
 大型客船でも4メートルほど持ち上がることがあるのだそうで、次の瞬間には8メートル下降「…そんな中でもコケずに歌ってきた職業病よ…」と明るくおっしゃっていたが、豪華客船の旅も結構大変なんだなあと、海のすごさに驚いたのであった。

 メニューはすべて鹿野さんが決めて、今回はジャズというより「昭和歌謡ジャズアレンジ」といった曲目。
朝ドラ「ブギウギ」のヒットが背景にあるのはもちろんである。

 「礒見さんと松本さんが乱入するからね」と鹿野さん。もう鶴岡出身プロミュージシャンのてんこ盛り。
鹿野さんと礒見さんは50年ぶりに一緒に演奏することになるそうで、自分が中学生くらいの頃だなあ…田中角栄の頃かな?と思ったりしていたら本番の時間が迫って来た。 
つづく

2024 3/30 鹿野信一・池の本和美+有地トリオ その2

 今回で最後になるMC中里のアナウンスで5人がステージに迎え入れられる。

 最初はカモスイのために鹿野さんが作曲した「私はクラゲ」。

 浮遊感のあるいかにもクラゲのような曲で、途中「クラゲのご飯はクラゲだ~」という歌詞があるのだが、曲が終わって池の本さんのMCでその話をすると中学生?のお客からクレームが…

「この水槽のクラゲは水クラゲなんでクラゲを食べません」と言われてしまった。

 確かにそのとおりなのだが、池の本さんは詳しくわからないのでbass館長がプチ解説で解決。プチ学術的なライブになったのであった。

 3曲目は鶴岡出身のドラマー礒見博さんと鶴岡在住のテナー松本健一さんが加わりインストで「Blue Bossa」を演奏。

 礒見さんは故本田竹寛さん、峰康介さん、日野照正さんなどと共演する我が国の大御所級ドラマー。鶴岡が生んだ星の1人である。
 見た目は怖いが「自分はシャイなだけで怖い人ではない」と言っていたが本当だろうか?

 鹿野さん、礒見さんなど鶴岡出身の大先輩に加え、松本さんのようなスーパーテナーが鶴岡に移住してくれたおかげもあって、鶴岡ゆかりの凄腕ミュージシャンと一緒に演奏できるなんて昔じゃ考えられない幸せ…
 生きてて良かった~ジャズやってて良かった~である。

 プログラムはどんどん進んで休憩なし1時間のライブはあっという間にアンコール。

 お客様にも喜んで頂けた1時間だったのではないかと思う。

2023 9/17 第3回蔵巡り Jazz Triangle その1

 ドラムの部屋にも掲載されているのだが、プロ3アマ3の6つのバンドが、置賜にある3つの蔵を巡り演奏するというイベントに出演させていただいた。この3つの蔵はそれぞれコンサートホールとして営業していて、内部が木造りであるせいか音が和んでとても演奏しやすかった。

 朝8時半に我が家集合。新車のプリウス奥泉号と社長自慢のミニ・ジョンクーパー・ワークスに分乗、我々が最初に出演する長井市にある「響蔵(ひびきぐら)」に向け出発した。

 天気は上々、途中寒河江ダムで玉コンを食べ遠足気分が盛り上がる。あさひ町「道の駅リンゴの森」で美味しいリンゴ冷麺を食べながら、ふと1時間後には演奏開始であることを思い出してビビるのであった。

 「響蔵」はプロサックス奏者の横澤徹さんがオーナーである。今回はスタッフに専念されていて、演奏が聴けるのは夜のセッションまでお預けとのこと。アマチュアである我々にとても良く接して下さってありがたさが身に染みる思いだった。

 演奏メニューだが、実はどうしようか悩んだ。与えられている時間は1個所40分なので、MCを入れて6曲くらいになる。同じ6曲を3か所で演奏するか、各所で別々の曲をやるか。悩んだ結果別々で演奏することにした。ミディアム、ボサノバ、スローとテンポとリズムを互い違いに用意した20曲に番号を振って、順番に演奏して行くことにした。

 正午。最初の蔵「響蔵」で最初の曲「O Grande Amor」でスタート!ところが第1トラブルが発生するのであった。 つづく

2023 9/17 第3回蔵巡り Jazz Triangle その2

 ドラムセットは備え付けのものをお借りすることになっていたのだが、それにバスドラのキックペダルが付いていなかった。ds塩野はスネアとシンバルは持参していたがキックペダルは持ってきていない。急遽ありあわせのものを取り付けていただいたのだが、それが途中で壊れてしまうというトラブルであった。

 ロックのバスドラはリズムパターンに組み込んで鳴らすが、ジャズではタムの1種と解釈され、リズムパターンはシンバルとハイハットとスネアで構成する。従ってバスドラが無くてもロック程には致命傷にならない。そんなこともあって、塩野にはなんとか乗り切ってもらって演奏が続いて行った。

 6曲演奏して時計を見ると4分前だった。1曲演奏するには短くこのまま終わるにはちょいと早いという一番まずい残り時間だ。そこでテンポの速いブルース「ビリーズ・バンス」を演奏することにした。ジャズのブルースは12小節で構成されるから、4分音符に換算して48個になる。超スローのテンポ48で演奏したとして12小節1回りが1分、超速いテンポ240で演奏すると12小節が12秒で回ることになる。あとはチラチラと時計を見ながら演奏して時間丁度で終わることができた。

 次の成川さん達との入れ替え時間は10分、急いで撤収して「道の駅川のみなと長井」でコーヒータイム、次は2時から境見山学舎での演奏だ。結構ハードである。

響蔵での演奏

2023 9/17 第3回蔵巡り Jazz Triangle その3

 境見山学舎は階段形式のここも素敵な蔵のホールだった。

 我々が到着したときは先行する海老原しのぶグループの演奏中で、楽屋からのぞくとすごい大人の雰囲気なジャズが流れていて…なぜか自分たちが子供に感じた(還暦すぎているのに)。後からセッションで森田潔さんのピアノに打ちのめされるのだが、この時はそこまでは感じ取れていなかった。

 ちょうど順番が苦手の曲だったという不運もあって、自分のデキはいまいちで、まだまだ修行が足りないなあと反省しきりであったが、お客様に温かい拍手をいただきありがたかった。

 40分のステージを終え、再び成川修士トリオと10分で入れ替え、今度は高畠町のちゅうしん蔵に向かう。

「移動しながらの演奏はしんどいねー」と言いながら、ちゅうしん蔵に着くと「いも煮たべれ~」とスタッフさんが出迎えてくれた。そしてこのいも煮の美味いこと!疲れがふっとんだ気がした。

 ちゅうしん蔵は大きくて立派で、お客も多くほとんど満席だった。

 あまりジャズではやらないプレスリーの名曲「Love Me Tender」でスタート。長めのイントロを入れたのだがなんだかいい。お客様が乗っている雰囲気が伝わってきて、こちらもハッピーに演奏が進む。最後はスタンディングオベイションもあってアンコールの声が…思わずやろうとして主催者にストップがかかる…次のバンドがあることを一瞬忘れたのだった。

 缶ビールとおにぎりという手作り感いっぱいの夜のセッション。ここで初めて演奏者全員が顔をそろえた。自分が懐かしかったのは昔エルビン・ジョーンズのユニットで演奏されていた高橋知己さん。かっこいいおじいさまになっていた。

 森田さんのサテンドールは凄かった。バラードの一歩手前くらいの難しいテンポで完全に乗るジャズピアノ。一緒に演奏したベースよくついて行ったなあとみんな大きな拍手。笑顔に包まれたセッションであった。

 関係者、ミュージシャンの皆さま、ありがとうございました。そして、来年も催されるなら是非また出演したいと思っております。

境見山学舎
ちゅうしん蔵
セッションで演奏する高橋知己さん

2023 9/2 有地トリオwith春山早苗コンサート2023 at荘銀ホール

 昨年に続き2回目の単独自主企画コンサートでありました。

 みんなのスケジュールを調整して、年内にコンサートが開催できる土曜日は9月2日だけということが分かって会場を探したものの、コロナが明けて文化活動が活性化しているせいかどこも埋まっていて、唯一空いていたのは「荘銀本店ホール」だけであった。

 荘銀本店ホールは新しいし、ピアノはスタインウェイだし、格調の高い素晴らしいホールである。だがそれなりに使用料金もとっても高い。大雑把に言うと、タクトの大ホールと同じレベルで、我々アマチュアには少々ハードルが高い。「う~んヘタすると赤字転落かも…」と迷うところではあったが、社長も含めてメンバー全員楽観主義なこともあって「えいや!」と決めてしまったのであった。

しかしおかげさまで161名+小・中学生のお客様にお運びをいただき、全13曲+アンコールを演奏させていただきました。ありがとうございました。

 今回のコンサートは、インストルメンタル主体のアルバム「Horizon」発売記念ということもあって、いつもより若干インストを多めに演奏しました。インストの演奏が終わって次はボーカルというときに、まだボーカルが登場しておらず「おーい!」と声をかけてしまうおっとっとな場面もあったりしましたが、お客様の温かな笑いと拍手で無事にスルー出来ました。

 後半には手拍子もいただいて、和気あいあいとした雰囲気の中でコンサートを進めることができました。

 荘銀本店ホールの感想ですが、搬入口からエレベーターで即舞台袖に昇れるなど機能的であるのと、木をふんだんに使った格調高い空間が形成されていて気持ち良く演奏することができました。一方、音響板は取り外しができないなど、生音を中心とした演奏に特化した造りになっていて、ロック系は無理、ジャズもピアノトリオくらいがせいぜいかなあと感じました。

 メンバー全員「荘銀本店ホール」を気に入ってしまって、「毎年ここでやろうか?」と話しているところであります。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2023 3/20 中本マリ・米木康志・曽根麻央 & 有地トリオwith春山早苗 at TACT

 中本マリさんは、我々のメンバーvo春山早苗の師匠でもあって、かつてスイングジャーナル誌読者人気投票ボーカル部門で第1位に9年輝いた大御所ボーカリストである。それにこちらも大御所b米木康志さん、バークリー音楽大学マスター首席ピアニスト曽根麻央さんを加えた3名で、3月18日カモスイ、20日荘銀タクトでのコンサートが決まり、20日は我々がオープニングアクト(前座)で30分演奏させて頂けることになった。

 マリさんが「最後はみんなでLOVEを演奏しようよ」と言ってくださっているとの情報が春山早苗経由で寄せられてはいたが、「みんな」ってどこまでだろう? マリさんのユニットにドラムスはいないからds塩野は確定として、麻央さんはトランぺッターでもあるので、ピアノは自分が弾いていいのかな? ベースはまさか米木さんをどかしてb奥泉が弾くことはないよな…などとモヤモヤしたまま当日を迎えたのであった。

 昼頃に先行して我々が会場入りしてステージのレイアウトを仮決めする。やがてマリさん達も会場入りしてサウンドチェックが始まった。

 それにしても曽根麻央さんのルックスの素晴らしいこと!…案の定舞台袖では社長が「うちのピアノが別の生き物に見える」と言っていたらしい。まあしょうがないや。

 麻央さんはピアノのマイクを持参していたのだが、タクトの機材が思ったより良かったと見えてそっちを使うことに。マリさんはPAを信用していない。「このくらいのホールだったらナマで十分よ」と言っておられたのだが、タクトの対応が良かったみたいで、普通にマイクを使うことになった。米木さんはベースの音を近くに設置したマイクで拾うことに。直接コマから音を拾うよりも木の響きも拾えるので良いらしいのだが、楽器にもよるんだろうな。米木さんの楽器は亡くなられたピアニストの奥様が選んだオールドモデル。

 みんなで演奏するLOVEはうちのバンド全員が参加させてもらうことになった。マリさん優しいな。
 ツインボーカルにトランペットが麻央さん、ピアノは自分(有地)、ドラムスは塩野、そしてベースは米木さん奥泉のツインベースでということになってリハーサルが終わった。   つづく

みんなでリハーサルその1
みんなでリハーサルその2
みんなでリハーサルその3
有地トリオ with 春山早苗 前座で演奏

2023 3/20 中本マリ・米木康志・曽根麻央 & 有地トリオwith春山早苗 at TACT

 その2

 開場の時間になると荘銀タクトの館内には渋いジャズのBGMが流れ始めた。

 米木さんが「…さっきからどっかで聴いた曲だと思ったらこれオレの曲だね」とつぶやく。そう、米木さんのリーダーアルバムを「BGMに使って」って音響さんに渡していたのだ。米木さんが嬉しそうでこっちまで嬉しくなった。

 もうすぐ我々の出番だ。実は超一流のプロの演奏を前に何をやるか悩んだ。

 早苗ちゃんは当初「マリ先生の前でなんて怖くて唄えないからインストでやって」と言っていたが、それではそもそもマリさんに教わっている意味がない。マリさんも「私が早苗の行動を制限するなんてありえないわよ」と言ってくれていたのが1年前。

 結局、曲が被らないのと、演奏が比較されようがないことから全曲オリジナルを演奏することにした。
 オリジナルの英語の歌詞はほとんどが早苗ちゃんのご主人が作詞してくれたのだが、その中でもデキの良いものを早苗ちゃんが選んだ。最初は「rugosa」をトリオで、2曲目から早苗ちゃんが入って「Across The Bridge」「Moonlit Ballad」「Afternoon In The Rain」最後に「Bistro G‘s Song」を演奏して舞台袖に下がった。

 米木さんが「オリジナルいいねえ、聴いていて楽しめるよ」と言って下さってとても嬉しくなった。米木さん何という褒め上手。

 ところが大変なことに早苗ちゃんが舞台から戻ってこない。マリさんのバンドを紹介してすぐに引っ込むはずなのに何やら演説している。

 「あの娘私がしゃべろうと思ったことを全部しゃべっているわよ」とマリさん。予定30秒のMCを、マリさんとの出会いからマリさんがどれだけ素晴らしいかとか、これまでの経過や何やら5分を超える大演説をかまして早苗ちゃんが戻ってきて言った。「まだしゃべり足りないわ」

 こんなハプニングがあったものの、プロ3人による演奏は素晴らしかった。観客は皆さんマスクをされていたけれど、目が輝いてノリノリだった。マリさんが舞台で叫んだ。「鶴岡最高!食べ物おいしい!つや姫最高!」そして最後、我々も参加してLOVEを演奏。感動の渦に包まれて、楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

 ところで、ジャズ界の大御所マリさんなら、きっと平常心でコンサートをやるんだろうなってみんな思っていた。お客が入りだしたころ舞台袖でマリさんに訊いてみたら「何言ってんのよ、私さっきから立ちっぱなしでしょ?緊張して座れないんだから…」緊張しない人なんていないんだということを改めて知った。  完

オープニングアクト
中本マリ・米木康志・曽根麻央
全員出演「LOVE」
ありがとうございました!

2023 2/24 松本健一セッション at BAR ChiC 白崎映美さん登場!

 令和5年初の松本セッション。

 毎月第4土曜日は、我々のライブか松本セッションをChiCで開催することになっていて、松本セッションでも我々がホストバンドを務めるのだが、こっちで演奏する方がずっと気が楽で疲れない。頼れるセッションリーダーの存在は大きいのである。今宵はどんなプレイヤーが参加するかな?と期待しながらChiCのドアを開けた。

 早苗ちゃんは本業のクラッシックが多忙で今回はお休み。ホストメンバーが揃ったのでサウンドチェックで演奏始めたらお客さんでいっぱいになり、そのままワンステージ目のスタートとなった。

 休憩に入って白崎映美さんがいらっしゃることに気づいた。白崎さんと言えばメージャーグループ「上々颱風」のボーカルで、ジブリの「平成狸合戦ポンポコ」を唄った方だ。であるにも関わらず酒田弁丸出しで気さくで、まだ寒い一夜を盛り上げて頂いた。

 鶴岡駅で偶然一緒になった栃木県からの観光カップルを連れて頂いてカップルも大喜び!「カモスイに行ってクラゲに感動して、夜はバーで館長の演奏を聴けるなんて鶴岡最高!」と言っていただいた。

 譜面もなくてキーも合わなかったのにラップのようにして演奏にも入って頂いて、BAR ChiCの夜は賑やかに更けて行くのであった。

2022 12/24 ピアノリレーコンサート & BAR ChiCライブ

 2022年最後の演奏は昨年同様、荘銀タクト主催のピアノリレーコンサートとBAR ChiC月例ライブのダブルヘッダーでありました。1年があっという間で、年を取って行くのが速すぎて怖いような気がするのは自分だけでしょうか。

 さて、ピアノリレーコンサートへの出演は今回で3回目。我々にとっては年末の恒例行事となった感があります。今年はクリスマスイブでもあって、舞台のソデにあったクリスマスグッズの被り物を付けて演奏することにしたのですが、演奏中被り物が落ちそうで気になって、自分は演奏途中で外してしまいました。ずいぶん前に、横浜の駅伝大会でだだちゃ豆の宣伝にと豆のさやをかぶって走った時のことを思い出していました。走って20mで後悔したのですが結局出場メンバー全員がかぶって走り通して、その年の成績は最低でした。でもこういった失敗も後になると楽しかった思い出に変わります。

 演奏は3曲。最初の曲は、早苗ちゃんが師匠の中本マリさんに初めて合格を頂いたスタンダードナンバー「There Is No Greater Love」。この世の中にこれ以上偉大な愛はない…作曲はベニ―・グッドマンの師匠でもあるアイシャム・ジョーンズ。この時代には珍しく、映画音楽でもミュージカルでもなく、スイングジャズの演奏用に作られた曲だそうです。

 2曲目はうちのライブで人気のある「Good Bye My gozilla」。禁煙を題材にしたオリジナル曲で、まだレコーディングをしておらず来年こそCDにと思っております。

 ラストは加茂水族館の「オールナイトカモスイ」のCMソングとして、上信越・北関東・東北でテレビやラジオでも流していただいた「Letter From You」。女友達と合流してのツーリング前夜、真夜中に目が覚めて寝られなくなってしまった情景を唄にしたオリジナル曲です。

 夜8時からはBAR ChiCで今年最後の月例ライブ。クリスマスイブでもあって、お客様は9時頃から増えて、最後には満員のライブとなりました。

 2ステージの演奏の後のセッションには、常連のトランぺッター山内先生に入っていただき、「いそしぎ」など数曲をご一緒させていただきました。その後リクエストもあって再び春山早苗のボーカルで今年最後の演奏を締めくくることができました。ありがとうございました。

皆様、良いお歳を!

2022 10/12 坂田明・松本健一・有地トリオ カモスイ音楽の夕べ特別編 その1

 坂田明さんはジャズ界の大御所であるばかりでなく、広島大学大学院と東京薬科大学の客員教授も務められていて生物学の研究者としても名高い。芸能界では福岡のホテルマンだったタモリを世に出した赤塚不二夫・筒井康隆・山下洋輔…各氏のお仲間でもある。

 クラゲの著書もある坂田明さんは加茂水族館を訪れたいと前々から希望されていたのだが、コロナでかなわず訪問が延びていたのであった。漸く規制が緩み10月に行くと連絡があった際、自分(有地)は「ダメモトでうちのバンドと一緒にやろうって言え」と館長(bass奥泉)をそそのかしてしまった。結果はまさかの「オーライ」。それからが大変だった。松本健一さんにフリージャズの指南をいただき、スタンダード曲を途中からフリースタイルで演奏する経験を積んで当日に備えた。

 テレビで見た他はずっと昔に羽田空港でお見かけして以来の生坂田明さん。小柄だけれど強いオーラが感じられて、そばにいるだけでこちらが元気になれるようなお方であった。加茂水族館にいるゴマアザラシのタマちゃんに似ていると思ったのは自分だけだろうか。

 楽屋で「これを一緒にやろうよ」とオリジナル曲の譜面を渡された。一見難しい曲には見えない譜面だが、小節の壁がわからないように巧妙に仕掛けが施された難しい曲だった。「う~んできるかなあ」

 「松本とはいつも一緒にやっているの?」と尋ねられ、「練習会もやってもらっていて、松本さんが移住してから鶴岡のジャズメンは活性化したんですよ」と言うと「松本のウデは凄いからね」と坂田さん。松本さんをすごく信頼しているのが伝わった。

 ソロ20分、松本さんとのデュオ20分、有地トリオが加わって20分で1時間の音楽の夕べを構成することが決まってリハーサルが終了した。  つづく

ゴマアザラシのタマちゃん
坂田明・松本健一
坂田明・松本健一・有地トリオ

坂田明・松本健一・有地トリオ カモスイ音楽の夕べ特別編 その2

 1982年に放送されたセイコーハイブリッドのCMを覚えておられるだろうか。坂田明さんが美女3人をはべらせて「ちょーおうーちょー!」と唄いながらピアノを弾く。「CM放送されてた頃地方に演奏に行ったらポスターに「ピアノ坂田明」って書かれていて、オレピアノじゃなくてサックスなんだけど…という事があったなあ」と笑いながら話しておられた。CMは今でもYouTubeで見られるので是非ご覧頂きたい。https://www.youtube.com/watch?v=aDf9an0HHAU

 さて音楽の夕べである。

 最初は坂田さんのソロ「見上げてごらん夜の星を」。ゆったりと歌いあげる坂田さんの演奏に引き込まれて、子どもの頃大好きだった坂本九ちゃんが唄っている姿が浮かんできてホロリとしてしまった。次は「サンフラワー」。理不尽に戦争に巻き込まれたウクライナに愛を込めて、最近多くのミュージシャンが演奏している。我々も明治ホールコンサートで演奏させてもらったが、やはり名曲だなあと思う。もっとも近頃ではロシアの人々の方が可哀そうな気もするが…

 次に坂田明・松本健一デュオ。「サックスという楽器を使って会話をするんです。会話するときに原稿読んだりしないでしょ?それと同じです。」と坂田さんが即興演奏(インプロビゼイション)を説明してスタート。絶妙な掛け合いとピタリとハモって終わるウデの凄さに感激!

 さていよいよ我々トリオが加わる。松本さんが外れてカルテットで最初の曲。坂田明さん作曲の「Silent Plankton」。直訳すると「物言わぬ浮遊生物」ん-何やら深い意味がありそうなタイトルだなあ。リハーサルでは途中までしかやっていなくて、しかも難しい曲なので「ええい、もう感性を研ぎ澄ましてやるしかない!」と自分を信じてイントロを出した。まあなんとか曲になって、坂田さんがグーサインをくれたのでホッとした。次に松本さんも入ってクインテットで「ソフトリー」。松本さんとフリースタイルで1度演奏したことがあって、こちらもなんとか…

 アンコールは坂田さんのソロで「赤とんぼ」。幼き頃の情景が目に浮かぶ…良かったなあー

 こうして演奏会は終わって打ち上げの寿司屋へ。坂田さんのでっかいトランクの中には顕微鏡が入っていた。旅でも顕微鏡を持ち歩いて研究されるんだ。やっぱすごい方だなあと尊敬した。  完

坂田明・松本健一・奥泉和也
有地裕之
塩野博紀
昭和な雰囲気で打ち上げ

2022 9/23 早苗・奥泉・社長&有地の東京ツアー

 午後から吉祥寺SOMETIMEで、vo早苗ちゃんが出演する中本マリ門下発表会があるので、社長とクルマで出かけた。

 bass奥泉は前日河口湖でイベントがあって、青山のホテルで合流。開口一番「ベルトを家に忘れた。ヒモでいいからくれ…」コントラバスを抱えつつ、時折ズボンを引っ張り上げながら、鶴岡-河口湖-東京と電車で移動していたようである。改めて面白い人間だと思った。

 新宿に出てGUでベルトを調達し、銀座ライオンビアホール新宿店で昼食。昼ビールはうまい。一杯が二杯、二杯が四杯…「熱燗欲しいね…」奥泉と自分はいつもビールの後は熱燗なのだ。「銀座ライオンにそんなもんある訳ないでしょ」「お客さんお帰り下さいって言われるよ」と社長。だよね納得。でもダメ元でメニューをめくると「ありゃあるで!」

「すいませ~ん二合徳利2つね~」銀座ライオンが我々の周辺だけ「思い出横丁」に変わった瞬間だった。

 トロトロとしながら快速で吉祥寺へ。アーケード街の横丁にSOMETIMEはあった。初めて入ったが歴史を感じるシックなお店で、2階席もあって満員だった。奥の方で日本の最高峰bass米木康志さん(社長がファンでメルトモ)が弾いている。ピアノは福井ともみさん、自分には絶対に出せない絶妙なボイシングで、voと語り合っているように聞こえた。すごいなあ。

 早苗ちゃんは休憩の後の2人目。休憩中に米木さんがわざわざ2階席の我々の所に来てくれてうれしかった。「…みんなの1年間の成果だから自分が間違えちゃいられないと思うと緊張してさ…」と話してくれて、米木さんでもそうなんだってすごく身近に感じてしまった。

 早苗ちゃんはすごく良かった。一番うまいと思ったのは同僚の欲目かなあ?最後に中本マリさんが唄ってくれて、これがまた素晴らしかった。社長は感動して泣きながら聴いていた。

 打ち上げのある早苗ちゃんを残し我々は錦糸町へ。

 J-Flowはほぼ満員で何とか入れた。マスターがbass奥泉に「どうもお久しぶり」って。奥泉3回めに対し自分は10回以上来ているのにこんな挨拶されたことはない。有名人は違うよなあプン。山形のpiano高橋玲子さんが偶然来ていて我らのテーブルは山形県人会と化した。

 ドラムスの小さな女の子もセッションに参加していて、楽しい時間が過ぎて行く。自分の演奏では、SOMETIMEでの福井さんのボイシングが脳裏から離れず、真似をしようとしたが無理だった。まあスタイルが違うからいいかとも思ったが、自分の課題が明確になった気がした。

 青山に戻り餃子屋で呑んで今宵はおしまい。翌日はBAR ChiCで演奏があるので7:30には出なきゃ。こうして3人の東京ツアーはおしまい。楽しかったなあ来年も行こっと。

銀座ライオンで熱燗
発表会お疲れ!SOMETIME
県人会と化したJ-Flow
J-Flow演奏中

2022 7/30 ‘22明治ホールコンサート

 実は単独では初めての自主企画コンサートでありました。

 チケットやフライヤーの印刷、販売していただくお店や会場との交渉、売れないともちろん困るけど定員オーバーしないためのコントロールなど、結果的にうまく行って良かったけど、結構大変でありました。

 しかしおかげさまで118名+小学生のお客様にお運びをいただき、全12曲+アンコールを演奏させていただきました。ありがとうございました。

 今回のコンサートに当たって、戦禍に苦しんでいるウクライナを応援したいと思い、ウクライナが舞台となった映画音楽「ひまわり~愛のテーマ」をプログラムに入れました。

 ロシア戦線から戻らない夫を探しにイタリアから列車でソ連に向かう妻。しかし手掛かりはなく広大なウクライナのひまわり畑をさまよう妻(ソフィア・ローレン)。そこに流れる音楽は巨匠ヘンリー・マンシーニ作曲の愛のテーマ。

 実は自分は昔、職場の映画サークルに所属していて、この映画を自主上映したことがありました。昭和通りから羽黒街道にちょいと入った辺りにあった「鶴岡座」。ここの大劇場をお借りして10日間上映しました。映写機もサークルの先輩が回していたように思います。

 当時もジャズをやっていて、この美しいテーマを演奏したいと思ったのですが、当時の自分にはジャズにアレンジできる腕がなくてあきらめちゃったんですね。それがいつのことだったか?先輩に調べてもらったところ昭和58年の4月でした。ほぼ40年前!今より体重が20キロ少なくて、髪の毛は倍くらいあった頃です。テレビで「おしん」を放送していた年だそうです。

 嗚呼、あれから40年。腕はさほど上達していないかもしれませんが、亀の甲より年の功、原曲を生かしつつ、途中を4ビートにして演奏させていただきました。この曲はもうしばらく演奏して行きたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

'22明治ホールコンサート
映画の舞台となったウクライナのひまわり畑

2022 6/25 BAR ChiC 月例ライブ

 みな様のおかげをもちまして、2021年4月にスタートした「有地トリオwith春山早苗」月例ライブは既に2年目に突入しております。
 コロナ禍の中、メンバーが濃厚接触者になったりして、デュオが2回、ソロが1回ありましたが、穴を開けることなく何とか続けてこられたのは、マスターはじめみな様のおかげがあればこそと深く感謝しております。

 で、今回は突然「リマさん」こと「廣澤リマ哲」さんが現れて、ビックリするやらうれしいやらで最初から加わっていただいて演奏させていただきました。

 リマさんはメジャーバンド「渋さ知らズ」の主要メンバーで、浅草のライブスポット「なってるハウス」の店長を長いことされていたのですが、3年前奥さまの住む酒田市に移住、それ以来時々ご一緒させてもらっております。

 リマさん特有の、ケダモンの遠吠えのような迫力の音は、脳みそごと「リマワールド」に引きずり込まれてしまいます。その後で回ってくるソロは大変!聞き劣りしないように満身の力で弾くもんですから今(4日後)もまだ手が痛いです。

 最初に「ソフトリー」を演奏、次にリマさんが「ビリーズ・バンスやるよ」って言いながら「バグズ・グルーヴ」を吹きだして、みんなニコニコの演奏となりました。

 春山早苗は昨年から中本マリさんに弟子入りしていて、毎月東京へレッスンに通っています。中本マリさんはスイングジャーナルの読者人気投票でボーカル部門第1位に9年間連続で輝いた日本の最高峰。サラ・ボーンを彷彿とさせる広大な音域の歌声は全身を痺れさせます。そんなお師匠について稽古しておりますので、もともとうまいけど、これからどんどん更に良くなると思われます。みな様ぜひ御贔屓に。

 セッションは、最近常連さんの山内先生(自分と家内の主治医でもあります)がトランペットで参加。今宵はリマさんもいるのでクインテットで演奏。ロックシンガーの「トコちゃん」も「好きにならずにいられない」を唄ってくれました。

 そんなこんなで満員のお客様にもアンコールまで頂き、感謝の一夜となりました。

廣澤リマ哲が吼えます

2021 12/25 ピアノリレーコンサート & BAR ChiCライブ

 今年最後の演奏はクリスマスに、荘銀タクト主催のピアノリレーコンサートとBAR ChiC月例ライブのダブルヘッダーとなった。

 ピアノリレーコンサートは、荘銀タクトの大ホールに置かれたフルコンサートピアノを使って演奏したい人を募集し、土日の2日間でコンサートを行うという催しである。今年は抽選することなく応募者全員が演奏できたとのこと、我々は昨年に続き2回目の出演となった。

 今年の目玉は何と言ってもフルコンサートピアノが2台になったこと。これまではスタインウェイ&サンズのフルコンが1台とヤマハのセミコンだったが、マリカ市民ホールで埃をかぶっていたカワイのフルコンがタクトに嫁入り(婿入り?)して、でっかいピアノが舞台の上にデンデンと2台並んで圧巻である。客席側にスタインウェイが置かれたせいもあって、なかなかカワイを弾く人がいなくて、カワイのピアノが可哀そうになった。

 やれスタインウェイだ、ベーゼンドルファーだ、ベヒシュタインだと言う人が多いが、今年のショパンコンクールのファイナルに残ったピアノは4台。スタインウェイ&サンズ、フィツィオリ、ヤマハそしてカワイだ。6位までの入賞者のメーカー別では、フィツィオリ3名、スタインウェイ3名、カワイ2名と、カワイは世界最高峰のピアノの1つなのである。ヤマハは今回入賞者が出なかったが、前大会では1位に輝いている。

 という訳で、舞台上には世界最高峰のフルコンが2台。自分は両方使うことにした。スタインウェイの音は一言でいうと「華やか」なので速い曲に、カワイの音は「響き」が特徴なのでミディアムなテンポの曲に使うことにした。何という贅沢! 

 持ち時間は15分で演奏するのは3曲。1曲目は加茂水族館のCMに使われている「Letter From You」。ミディアム4ビートなのでカワイで演奏。2曲目「Good Bye My Gazilla」は激しいサンバなのでスタインウェイで演奏。3曲目「Rugosa」という新曲、遠い記憶の中で揺れるハマナスを唄った曲にはカワイをチョイスした。

 スタインウェイを弾いた後でカワイを弾いたら、当然滑るはずの鍵盤が全く滑らないことに気が付いた。そうだ象牙鍵盤だった。平成2年に発動したワシントン条約で規制される前に製造されていて、最後に近い象牙鍵盤を備えたモデルだと思う。すべる前提で弾いていたので滑らずにあちこち引っかかってしまった。次は気をつけよう

 引き続き夜8時からはBAR ChiC月例ライブ。猛吹雪にも関わらず足を運んで下さった満員のお客様に感謝感激だった。

「有地トリオwith春山早苗」の2021年の演奏はこれにておひらき。コロナ禍の中、ワンコインコンサートや、YTS生放送、秋田キャットウォーク出演、CMなど、多くの演奏ができたことに感謝である。そういえば一瞬だけiTune Storeのジャズトップソングに43位でランクインもしたこともあったなあ。

 皆様、どうもありがとうございました。来年も皆様にとって良い年でありますように!

リレコン カワイ演奏中
リレコン スタインウェイ演奏中
今年最後の BAR ChiC Live
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2021 10/13 19:00~20:00 YTSスペシャル「まるごと夜の加茂水族館」出演 その1

 テレビで演奏するのは初めてではないが、生放送は初めてである。

 この番組は山形テレビが制作する1時間の県内限定の特別番組で、今回は加茂水族館にスポットを当てる。たまたま館長がうちのベースで、水族館のCM音楽をうちのバンドが担当していることと、番組を進めるタレントさんが歌手でもある「のだこころ」さんで、彼女も演奏に参加すれば良い絵が撮れるとのテレビ局の思惑もあって、エンディングに生演奏を入れることになった。

 こころさんは、2002年10歳の時に劇団四季ライオンキングでデビューしたタレントさんである。当日午後4時からこころさんを入れて練習開始。早苗ちゃんが「こころさんと並ぶのつらいなあ」とぼやく。テレビで観ると普通に見えるが、生身のこころさんは空中に浮かぶんじゃないかと思うほど重さが感じられない。まるで妖精のようなという表現がピッタリだ。

 曲は今テレビで放映中のCM「オールナイト加茂水」に使ってもらっている「Letter From You」。約束の場所へ旅立つ前夜、気持ちが高揚して夜中に目覚めてしまう様を唄にした曲だ。詳しくは「オリジナルCDと曲の紹介」ページをご参照あれ。

 演奏に与えられた時間は3分10秒。これを超えるのはダメだが、かといって時間足らずもみっともないので、精密なデザインと演奏が求められる。

 演奏のテンポを200に設定する。テンポ200は4分音符が1分間に200個入るスピードだ。4分音符1拍の長さは60秒を200で割ればいいから0.3秒になる。1小節の長さは4拍子なのでこの4倍で1.2秒。最初のコーラスを早苗ちゃんが英語で、ピアノの間奏の後にこころさんが日本語で、最後にデュエットという構成にする。これだと曲の小節の数は144になるので、曲の長さは全体で2分53秒になる。多少遅れても17秒の余裕があるからこれで行くことにする。

 我々のCDを聴いて事前に練習して来てくれたこころさん、3回ほどで練習は終了したのだが、実はジャズを唄うのは初めてだそうで、クラッシックとは発声方法が全く違うのでつらそうだった。同じくクラッシック出身の早苗ちゃん、「自分も悩んだから気持ちがすごくわかる…」。

 5時になるとカメリハが次々と進んでいく。我々の出番はエンディングなので、リハーサルは6時スタートとの指示が来る。外には中継車が2台、スタッフは30名くらい、生の1時間番組というとこんなに大掛かりなんだなあと思う。

 6時。エンディングのカメリハスタート。熊谷瞳アナウンサーとラッシャー板前さんとの会話からはじまり、こころさんがドレスに着替えて現れる。本番ではCMのわずかな時間で着替えるのでギリギリになるらしい。

 バンドが紹介されラッシャーさんがBass館長に「なんでそんなところに?」って絡んだ後、早苗ちゃんが曲を紹介してスタート。デザインどおりの演奏で一発OKとなった。

 本番が始まり、Bass館長を除く我々は事務室のテレビを見ながら出番を待つ。周辺では撮影が進行していて音が聞こえるのだが、テレビとの時間差がすごい。撮影した情報を中継車から電波にして発射し高館山の電波塔に送り、そこから発射された電波をテレビが捉える。計ってはみなかったけど5秒以上のタイムラグがあるように感じた。               つづく                             

放送後のだこころさんと

2021 10/13 19:00~20:00 YTSスペシャル「まるごと夜の加茂水族館」生出演その2

 エンディングの中継は7時50分スタートだ。まだスタンバイの連絡は来ないけど7時半に撮影場所となるクラゲシアターに移動した。もちろん撮影現場にぶつからないようルートには気をつけて進んだ。
 クラゲシアターに着くとそれぞれの持ち場にスタンバイ。直ぐにBass館長もやってきた。緊張しているせいか時間があっという間に過ぎていく。

 5分前、ラッシャーさんと熊谷アナウンサーが登場。照明・カメラなどのスタッフがスタンバイするが、ギリギリに表れる予定のこころさんがまだ来ない。ホントにギリギリなんだ。大丈夫かなと思っていると、銀色のドレスを纏ったこころさんが小走りで現れた。

 10秒前のカウントダウンが始まり「キュー」が出る。

 ラッシャーさんが突然思いついたような雰囲気で、しかしリハーサル通りに話し出す。「すごい!プロだな」って思う。コントラバスを抱える館長に「館長!そんなところで何やってるのー?」リハ通りの絡みで我々のバンドが紹介される…

 自分では緊張しているという感覚が無かったのだが、あとで録画を見るとメチャメチャ緊張していた。まず、こころさんの伴奏部分でミスった。これは一番やっちゃいけないこと。自分で作った曲で何をやってんだろう。次に難度の高い技を1つも出していない。演奏中は「美女たちに花を持たせるため黒子に徹しよう」と思って弾いていたのだが、消極的過ぎてつまらなくしている。わずか2分50秒に反省しきり。

 でもとにかく終わって…終わった後のみんなの一体感は気持ちが良かった。アナウンサー、タレントさん、カメラやスタッフの皆さん、全員ニコニコで「お疲れ様~」を言い合って、写真を撮ったり撮られたり和気あいあいの空間を満喫した。この後のプロたちの撤収の早かったこと。セッティングには3時間以上を費やしたのに、30分後にはほぼ撤収完了だった。

 この後控室に戻って、撮影で使った料理をみんなで少しづつ食べたりして解散。初めての生放送は青いレモンの味がした。ちがうか?  完。

8/16 秋田「THE CAT WALK」ツアー:その1

 秋田市の繁華街「川反」にある「ザ・キャットウォーク」は、東北には数少ない本格的なジャズ・ライブハウスだ。実は自分(有地)は35年前、毎週末ここに通い演奏していた。

 当時、鶴岡・酒田のジャズメンは、自分よりは1世代上のバンドマン出身者がほとんどだった。皆いい人なのだが見た目が怖くて対等には口がきけないこともあって、20代前半だった自分としては同世代の人と今風なジャズを演奏してみたいとの思いを持っていた。

 初めてキャットでセッションした時は、テナーサックス鈴木明義、ベース伊藤雅和(うちの社長の実弟)、二人とも自分より歳が2つ下で、ドラムはプロであるマスターが叩いてくれた。なんというレベルの高さ、特に明義(みんな苗字ではなく名前を呼んでいた)は既に独自のスタイルを確立していて、彼がエルビン・ジョーンズに注目される少し前の、プロへの助走を開始したとも言える時期だった。そして自分にとってラッキーだったのは、少し前までいたらしいピアノニストが転勤になってピアノが空席だったのだ。メンバーとの演奏はもちろんだが、多くのプロミュージシャンとのセッション、大森ジャズフェスへの出演、浅草ジャズコンの入賞など、楽しい思い出の詰まった35年前のキャットウォークであった。

 そして今年、8/16から予定していた「有地トリオwith春山早苗大阪ツアー」がコロナでキャンセルとなり、空いた日程と予約していたレンタカーを使い、キャットウォークへ演奏旅行を行ったのであったが、残念ながら早苗ちゃんは都合で欠席した。

 川尻モータースにお借りしたワゴンで13時に出発。鶴岡―秋田間は徐々に高速道路が伸びて、昔は3時間を要したが今では2時間ほどで行ける。演奏開始は19:30、早く着いてもしょうがないので、道の駅でぶらぶら牡蠣などを堪能しながら行くことにした。ところが、「牡蠣食うぞー!」と歓声を上げつつ寄った象潟の道の駅ではすべて売り切れ。結局「秋田に着いたら居酒屋でビールと一緒に食べよう」ということになり一路秋田へ。

 16時にキャットの3軒隣のホテルにチェックイン。直ぐにホテルを出て「すずらん通り」に繰り出したのだがあいにくやっている店がない。北国では「札幌ススキノ」に次ぐくらい有名な「秋田カワバタ」なはずなのに、夕方4時に営業している店がない!人口減少、少子高齢化そしてコロナ渦で秋田川反アウトか?…と思ったらレンガ館通りとの交差点から焼き鳥のにおいが…若くて元気な秋田美人の焼き鳥屋さんで食事をし、やがてキャットがオープンする18時が近づいてきた。緊張感が徐々に高まってくる。  つづく
                                             

8/16 秋田「THE CAT WALK」ツアー:その2

 キャットウォークでの思い出は数々あるのだが小山彰太さんについて触れたい。なぜなら自分がこれまでに体験した中で最大級なショックの1つであったから。

 小山彰太さんがキャットに現れたのは「The北海道バンド」の一員としてだった。テナーサックス:高橋知己、ピアノ:元岡一英、ベース:米木康志、そしてドラムスが小山彰太さん。このバンドは函館ラサール高校出身者で構成されているそうで、皆さんアタマが良いんだなあと思った。思えばこの年代の人達はすごい。ジャズをやるには早稲田のジャズ研に入らねばと勉強し、ラグビーやるなら京大に入らねばと勉強に励む「戦争を知らない子供達」である。およそ10歳下の我々「なんとなくクリスタル」世代とは根性が違う。

 演奏で今も覚えているのは、ドラムセットが簡素であるにも関わらず説得力のあるドラムだったこと、元岡さんのピアノが素朴で温かい感じがしていいなあと思ったことである。演奏後に高橋知己さんとカウンターで飲んで、「元岡のピアノいいだろ?オレ好きなんだよなあ」と言われたことを鮮明に覚えている。自分が「小山彰太さんって山下洋輔さんと長いことやっていたんですよね。」と言うと、「あいつはうるさくてすごかったんだけどあの時代の小山彰太は死んで、今の彰太は別人だから」と言われた。彰太さんもやってきて「そう、オレ生まれ変わったんだよ」と言った。

 アフターアワーズセッションが始まり、自分を含むハウスバンドが演奏を始めた。このときドラムスはアマチュアの渡辺さんが叩いた。何の曲だったかは覚えていない。自分からはベースに遮られて、曲の途中でドラムスが彰太さんに代わったのを見ていなかった。突然、世界が変わった!何という空間の広がり!それまでとぼとぼと細道を歩いていたのに、急に視界が開けて、緑が生い茂る恵み多き大地を自分は今を謳歌しつつ歩いて行く…そのくらいの変化だった。

 後で彰太さんは「音と音の間の空間で唄うっていうのが面白くてね…」と語ってくれた。多くの打楽器をジャングルジムの様にセットし、バリエーション豊かな音色で叩くドラムスもそれはそれでいいが、自分にとっては簡素なドラムセットで空間を使って歌いあげる彰太さんのようなドラムスが理想となった。

 このときのアフターアワーズの話を北海道バンドの誰かが東京でしてくれたみたいで、少し経って寺下誠さんのピアノゼミを受講したときに、「秋田のエバンスは君か、連弾しようよ」と言っていただき、それを受講生に聴かせて1コマ終わったということがあったっけ。

 そんなことを思い出しながら、キャットのビルの階段を下りて行った。  つづく

8/16 秋田「THE CAT WALK」ツアー:その3

 キャットのお店は地下にあります。地下のライブハウスというのが都会的でかっこいい!階段を下りていると、伊勢丹裏の地下にあった旧「新宿ピットイン」に初めて行った時のことを思い出します。ギリギリ10代だったかな。自分の音はまだ全然ジャズになってなくて、でも気持ちだけは前途洋々と思い込んでいたあの頃が懐かしい。今田勝さんを聴きに行ったんだっけ。

 キャットのお店に入るとマスターでドラマーの太田徹さんとママさんが笑顔で迎え入れてくれた。Bass奥泉は35年前自分にそそのかされて来店したことがあって、マスターの記憶にはなかったらしいけど顔見た途端「あ、わかった!覚えてる」となって懐かしい再会となった。

 Drums塩野は、自分や奥泉と違ってブラスバンドやビッグバンドの経験も積み、きちんと段階を踏んだ音楽教育を踏襲しており、秋田のビッグバンドとの交流もあって間接的にマスターを知っていたらしい。「今までで一番緊張しているかもしれない」って。でもこの緊張がいいのだ。緊張と緩和の間に幸せが隠れている。

 リハーサルが終わって開始の19:30を待っているがお客さんが来ない。いつだったかBAR ChiCライブでお客が若い男性数人の1グループだけだったことがあって、「自分たちすごく感動して聴いていたんですけど次の店に行きたくて…」と話しかけられたことがあった。「気を使わせてごめんね。いいんだよおじさん達慣れてるから」。東京のライブハウスでも、自分が1人だけの客という経験も少なからずあるし、今夜は盆休み明けの月曜日、しかもコロナ渦という悪条件下である。「客が来なくても時間通りにやろうぜ」と相談していると、マスターが「開始時間少し遅らすよ」と声をかけてくれた。

 セッションがあるからよくやるスタンダードははずして、オリジナルを主体に曲を組んだ。3曲しかやらなかったスタンダードには「SUNNY」を入れた。この曲は1965年にボビー・ヘブが作曲、BMI(米放送音楽出版)の「20世紀の100曲」の25位にランクされた名曲で、世界で最初に録音したのはなんと!日本の弘田三枝子さんである。’66年リリースのアルバム「ニューヨークのミコ」にビル・テイラー・トリオの伴奏で入っている。この時代にもうニューヨークで唄っていたんだ。しかも’65年のニューポート・ジャズ・フェスティバルで18歳でトリを務めたという。自分は5歳で白黒テレビで月光仮面観ていた頃だよなあ。一回り歳が離れているだけなのに何という違いだろう。我々には「人形の家」のイメージが大きいけど、ホントは世界的なジャズ・ボーカリストだったんだなあと改めて思う。

 ’94年に、新庄駅の駅前広場のこけら落としに弘田三枝子さんが招かれたときに、自分は前座で演奏させてもらって、打ち上げでは一緒に熊鍋をいただき、華奢で可憐で誰にでも丁寧に応対してくれる彼女に感激したものだった。リハーサルで思わずスタッフが拍手してしまうと、いちいち挨拶されていたっけ。昨年7月に亡くなられた彼女への追悼を込めて演奏させてもらった。

 お客は少なかったけれど、ジャズピアノに興味のある中学生と父親がピアノのすぐ前で聴いてくれて、「息子がとても感動している」とメンバーにビールをふるまっていただき嬉しかった。セッションはマスターがコルネットで、キャットの常連さんの女性ボーカルとベース・ドラムスが参加して下さって、初めて会ったその日から一緒に演奏できるジャズは素晴らしいと改めて感じた。うちの社長はもちろん、キャットのマスターもママさんも喜んでくれて、とても楽しい一夜となった。コロナの模様を見ながら、今度は早苗ちゃんも入れてまたちょこちょこ来させていただくことを約束しキャットウォークを後にした。

 そして「若くて元気な秋田美人の焼き鳥屋」さんに戻ってアルコールとともに幸せをかみしめたのだった。16時にカウンターにいた若い男性客2人連れも再び戻って飲んでいて「おーまた会ったねー」となぜか盛り上がって秋田川反の夜は更けていった…。   完
リハーサル
本番
マスターとセッション
在りし日の弘田三枝子さん

Arichi Trio with Haruyama Sanae Recording at Tact

5/9タクトの練習室(大)で2枚目のCD「Cat Lover Blues」の録音を行いました。

タクトでの演奏は何度か経験がありますが、練習室を使うのは初めて。駐車場から全ての部屋へフルフラットとで明るい動線が確保されており、機材の持ち込みがとても楽です。設計が新しいということはこういう事なんだなあと感じました。

 部屋は、演奏者4人に録音スタッフと付き添いがいても広すぎず狭すぎず丁度よい広さで、今回は使いませんがドラムセットも別料金なしで借りられます。

 ピアノはアップライトだけれどスタインウェイ。500万円以上すると思われます。これが2カ月くらいの頻度で調律が入るそうなので、私が使うには十分なコンディションです。新品に近いので音が出ませんが、音を出さないピアノと折り合いをつけながら演奏するのはピアニストのだいご味でもあると思ってます。良い楽器は簡単には鳴りませんからね。

 録音はZOOM R18での一発録り、マイクはピアノ2、ドラムス3、ボーカル1で、ベースはラインで録ります。タクトにバンドのレコーディングが入るのは初めてのようで、スタッフさんが心配して見に来てくれて、特に音響担当のTさんにはプロのアドバイスがもらえてありがたかったです。録音はボーカルのノドのコンディションに合わせて、軽い曲からスタートです。

 

1曲目 Martini & Olives

 「お酒だけではマティーニじゃない オリーブがあってマティーニになる あなたと私の関係もきっとそうよ…」というちょっと大人の関係を描いた唄です。とても素直で簡単なメロディーなのでコンサートの時は客席にも歌ってもらおうという魂胆で作りました。

 うちでは、テイクが終わる度にみんなでスピーカーで聴いて、O.K.が出るとマスターに入れてという昔ながらの作業でやっています。自分が失敗しても他のみんなに「そんなとこ誰も聴かないから…」などと言われて世間の冷たさを感じる作業でもあります。

 

 2曲目 In Your Eyes

 「キスをしようとして恋人の瞳に映る風景を見て秋を感じた」という情景をワルツに乗っけた曲です。この曲だけは思いっきり若いころに作って、あちこち修正を加えながら、タイトルも変更しながら演奏してきた曲で、ボーカルを入れて演奏するのは早苗ちゃんが初めてです。

 CDでは出だしの曲になるので少し長めのピアノのフリーのイントロから始まります。ここにホールトーンスケールをなんとなく入れたらスタッフ受けしたのでそのまま入れて録りました。ホールトーンスケールというのは1音ずつ離れて並ぶ音の連なりで、自分と同年代の人なら「アトムの唄」が始まるときのポロロロ…ロンと言えばわかるかな。

 

 あっという間に2時間が経過し昼食へ。千石町にある隠れた名店「うめどん庵」でエネルギーチャージ。このお店はうまくてボリュームがあってしかも安い。てんぷらは揚げたてが出てきます。店内は昭和そのもの。大好きなお店です。

 

 3曲目 Hot Sand Samba

 ホットサンドイッチが焼ける臭いでうれしくて目が覚めたという唄です。サンバなのでどう演奏するか迷って、結局ベースにジャコパスの「チキン」みたいなパターンを繰り返してもらい、それにリズムとハーモニーで色付けした感じで演奏してます。なんとかピタッと決まってO.K.が出ました。

 

 4曲目 Illusions

 リチャードバックの小説の1シーンを歌にした曲です。1974年くらいに「カモメのジョナサン」という小説が世界の大ベストセラーになって、彼がそのあと出した救世主が退屈しのぎに複葉機のパイロットをしているという作品が「イリュージョン」です。

 昭和に流行った小説を土台にしているので昭和の歌謡曲の要素を入れようと思い、辺見マリさんの「経験」のイントロの一部分を唄のバックに忍ばせております。

 

 5曲目 Across The Bridge

 1枚目のCDにはインストで入れているんですが、このCDではボーカルのバラードでしっとりと演奏しています。同じ曲なのですが同じ曲とは思えない、1つぶで2度おいしいみたいな曲です。この橋を渡るといいことが待っている…

 

 6曲目 Cat Lover Blues

 「ネズミを捕らない猫がいる おかしいんじゃねえか? でもメチャキュートだぜ」という唄の付いているオリジナルブルースです。

 今回のCDのタイトル曲でもあります。CDの画像は我が家の「チャー」という三毛猫が子猫だったころの写真をデフォルメして作りました。

ジャズのスローなリズムに乗せて7変化する春山早苗のフレーズ、ご期待ください。

 

5月29日(土)BAR ChiC Live にて発売開始の予定です。6曲入り600円です。

お問い合わせ

鶴岡のジャズピアノトリオ「有地トリオ」と、一緒に活動しているボーカリスト春山早苗のホームページです。
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